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This is SUEKI ~須恵器展に行ってきた~

This is SUEKI ~須恵器展に行ってきた~

兵庫陶芸美術館で2026年3月20日(金)~6月14日(日)まで開催されている特別展「This is SUEKI ―古代のカタチ、無限大!―」を観覧してきました。

今回の展覧会では、当社がポスターやパンフレット、チケットなどの広報ツール制作に携わっています。

制作したデザインが実際の展示空間でどのように展開されているのか、そして展覧会そのものの魅力を体感するため、会場を訪れました。

展示を通して感じた須恵器の魅力や、制作にまつわることをご紹介します。

 

須恵器の魅力を伝えるビジュアルづくり

今回の制作では、須恵器や考古学に親しみのある方はもちろん、専門的な知識を持たない方にも興味を持っていただけるよう、異なるターゲット層を意識したデザインを心がけました。

パンフレットの表紙には、異なる2種類のビジュアルが採用されています。

一方は、須恵器の製作に欠かせない「火」に着目したデザインです。朝鮮半島から穴窯(あながま)の技術が伝わり、それまで野焼きで焼かれていた土器は、窯を使って焼成されるようになりました。
暗闇の中、炎に照らされて浮かび上がる須恵器の姿は、高温で焼き締められる須恵器の特徴と、その力強さを表現しています。考古学や歴史に関心のある方にとっては、須恵器誕生の背景にある技術革新を想起させるビジュアルとなっています。

もう一方は、さまざまな形の須恵器を円環状に配置したデザインです。須恵器が持つ多様な造形や用途を一目で感じられるよう構成されており、「古代のカタチ、無限大!」という展覧会のテーマを視覚的に表現しています。
専門的な知識がなくても、現代のプロダクトデザインにも通じる造形の面白さや美しさを感じてもらえるよう意識したビジュアルです。

 

展示を見る前から始まる体験

会場を巡る中で印象的だったのは、制作に携わったキービジュアルが展示空間のさまざまな場面で活用されていたことです。

入口付近には大型のサインが設置されており、来場者を展覧会の世界へと誘います。また、館内の掲示物や案内ツールにもビジュアルが取り入れられ、展示全体に統一感のある世界観がつくられていました。

ひとつのキービジュアルがポスターやパンフレットだけでなく、さまざまな媒体や空間へ展開されることで、来場者は自然と展覧会のコンセプトに触れることができます。実際の会場でその様子を見ることができたのは、制作者として非常に興味深い体験でした。

 

須恵器ってどんな焼き物?

須恵器は約1600年前に誕生した日本の焼き物です。
高温で焼き締められた灰色の器は、実用品としてだけでなく、祭祀や葬送の場面でも使用されました。

本展では全国から集められた貴重な須恵器が展示されており、器としての機能だけでなく、その造形美や地域ごとの特色も楽しむことができます。

動物や人物をモチーフにしたユニークな作品も多く、古代の人々の暮らしが垣間見えることも本展の魅力です。

 

パンフレットも展示体験の一部

今回制作したパンフレットはA3二つ折り仕様です。

表紙面は異なるデザインを採用し、どちらから見ても展覧会の魅力が伝わる構成になっています。

中面では展示内容を「Episode 01」「Episode 02」「Episode 03」とテーマごとに整理し、須恵器の歴史や技術、造形の面白さをわかりやすく紹介しています。

須恵器というと専門的で難しい印象を持たれる方もいるかもしれません。しかし、実際には現代のデザインやプロダクトにも通じる魅力的なフォルムが数多く存在します。

パンフレットでは、その魅力を楽しみながら知っていただけるよう、写真やイラスト、解説のバランスにも配慮しました。

実際に展示を見て感じたこと

展示を見ながら興味深く感じたのが、「叩き目(たたきめ)」と呼ばれる模様です。

これは須恵器を成形する際に使われた「叩き板」の痕跡で、本来は器を丈夫にするための工程から生まれたものです。しかし、その規則的な模様は装飾としても魅力的で、機能のためについた跡が文様として器の表情をつくり出しています。

また、展示品の中には装飾を目的として意図的に施された模様も見られました。

こうした造形や文様を見ていると、人が「美しいものをつくりたい」「より魅力的に見せたい」と考える気持ちは、古代から現代まで変わらないのではないかと思えてきます。

約1600年前の人々も、器を使う人のことを思いながら手を動かし、ときには出来上がった模様や形に心を動かされていたのかもしれません。そんな当時の感動や創作への想いを想像すると感情が高まり、一つ一つの器に心が揺さぶられました。

特に印象的だったのは、魅力的であると同時に機能的でもある須恵器の造形です。

現代のプロダクトデザインにおいても「機能美」という言葉がありますが、展示された須恵器の多くは、まさにその考え方を体現しているように感じました。用途に応じて最適化された形状は無駄がなく、その合理性が結果として美しいフォルムを生み出しています。

私たちが日々取り組むデザイン制作においても、「見た目の美しさ」「役割を果たす機能性」の両立は重要なテーマです。須恵器の造形からは、時代を超えて変わらないものづくりの本質を感じることができました。

 

「伝える」を支える仕事

私たちは日々、印刷物やデザイン制作を通じて、お客様の情報発信を支援しています。
今回の「This is SUEKI」展では、古代のものづくりの魅力を現代の来場者へ届けるための広報ツール制作に携わることができました。
文化や歴史の魅力を伝える仕事に関われたことを大変光栄に感じています。

兵庫陶芸美術館へお越しの際は、ぜひ展示とあわせて、会場で活躍するポスターやパンフレット、チケットなどにもご注目ください。

約1600年前の須恵器に触れながら、私たちが日々向き合っている「伝えるためのデザイン」について改めて考える機会となりました。
機能を追求する中で生まれる美しさ。人に伝えたい、より良くしたいという想い。
それらは時代が変わっても変わらない、人の創作活動の原点なのかもしれません。

須恵器に見られる機能美と創意工夫から、多くの学びと刺激を得ることができた展覧会でした。

 


 

■兵庫陶芸美術館
Web https://www.mcart.jp/
Instagram https://www.instagram.com/mcart_hyogo/

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