ビジュアルアイデンティティを考えよう

皆様、お久しぶりです。
12月生まれのくせに冬が苦手。
​​​​​​​この季節、足に貼るカイロが欠かせない凍える足先デザイナー、末端冷え性の岡﨑です。

以前にもブログで書かせていただいたことがあるのですが、わたくし芸術鑑賞が趣味でして。。

美術館等によく足を運ぶのですが、先日観た作品展がとてもおもしろかったので感想とともにご紹介したいと思います。


場所は大阪府にある国立国際美術館。




と見せかけて…

国立国際美術館へ行く途中に寄り道した、兵庫県は尼崎市にある「あまらぶアートラボ【A-Lab】」というアートスペースです。




尼崎の新たなアート発信基地として旧公民館の建物を活用しているそう。(活用の仕方がすでにアートですね ⁎ᵕᴗᵕ⁎)

こちらの施設で「ニューアイデンティティ」展(2021.12.27mon.-2022.2.13sun.)が行われていたので、今回は私の所感とともに展示作品をいくつかご紹介したいと思います。


※事前に撮影の許可及び写真の掲載許可を得ています。





「ニューアイデンティティ」展とは


2021年秋に6周年を迎えたA-Labの新しいアイデンティティ(ロゴ)をビジュアル表現とともにお披露目するグラフィックデザインの展覧会です。



企業やブランドなどを象徴する視覚的デザイン要素一式を総称してVI(ビジュアルアイデンティティ)と呼びます。
ロゴマークやコーポレートカラーなどが代表的な例ですかね。
​​​​​​​ざっくり言うと、そのブランドの「(見た目の)らしさ」を示すものです。

本展覧会の展示作品はA-Labの新しいロゴとその見せ方(VIデザイン)の可能性を提案するものでした。



※注意
ここから先は、私のまったくの主観による解釈および思考を述べるものであり、作者の意図や作品を正しく解説するものではありませんので、予めご了承のうえ読み進めてください。






入館の受付を済ませ、【Room1】なるスペースに入ると、いきなりですが、壁面いっぱいの巨大な作品がお出迎え。



こちらの作品『New identity』は新しいアイデンティティをモチーフにしたアナログ・インタラクティブ作品になります。



「インタラクティブ」の意味は「相互に作用するさま」であり、インタラクティブ作品というのは、鑑賞者がただ観るだけの(一方向的な)作品ではなく、鑑賞者が作品に対して何らかの影響を与えたり、鑑賞者と作品の相互作用によって成り立つ(双方向的な)作品です。



幅7~8m以上ありましたかね。(測っていませんし、インパクトのせいで大きく記憶されているのかもしれません。。悪しからず)。作品はロゴ部分が108分割され、それぞれ10枚ずつ模様の違う紙(レイヤー)が重ねられています。それぞれの紙を剥がしたり、また、勝手に剥がれ落ちたりすることで時間の経過とともに予期せぬ様々な変化を生み出してくれます。

アナログだからこそできる、意図の中に偶然が含まれる表現がとても面白かったです。剥がれ落ちた様は四季の移ろいをも連想させ、どこか秋のもの悲しさを感じさせてくれる、儚くも美しい作品。







他にはこんな作品もありました。



2020年「アイデンティティのキキ」にも出展されていた、デザイン会社『Kontrapunkt(コントラプンクト)』さんの作品。

モーショングラフィックによってグラフィックに生命と感情が宿ります。
デジタル技術を使ったVI(ビジュアルアイデンティティ)表現についつい見惚れてしまいます。

こちらのKontrapunktさんのサイト内で動いている様子が見れます。
A (new) LAB / Feb 26. 2020

サイトもめちゃくちゃオシャレで凄いですね!

画像の一部のみに動きを入れたアニメーションをシネマグラフと言いますが、一部に動きが入るだけでも十分に人の目を留める力があります。
大げさな動きでなく、少しの変化や動きを加えるだけ。まさに一手間加えるといった感じでしょうか。
まぁ、その一手間が、一手間で済まないんですけどね。(制作あるある笑)

自然界でいうと、風になびく旗や木々の揺らめき。寄せては返すさざ波や海面に乱反射する陽の光。蜃気楼に揺れる地平線。煙突から立ち上る煙などは、しばらく無心で眺めてしまいますよね…。
どうやら人は動きや変化、特に規則があるようで無い曖昧なものに心を奪われてしまうようです。

キャンプファイヤーでボーっと炎を眺めてしまうのは炎の曖昧なゆらめきが原因なのでしょうか…。


余談はさておき、ゆったりと見た目に心地よく変化する本作品は、自然界のそれらを見た時の安らぎにも似た感覚を与えてくれました。


いや~楽しすぎますね。







さらにはこんな作品も。



「New identity miniature」と名付けられた本作品は、アイデンティティのミニチュアオブジェが和室のいたるところに配置されています。

こちらもアナログ・インタラクティブな作品ですが、1つ目に紹介した平面的な作品とは異なり、空間的な作品となっています。

配置されたミニチュアオブジェは固定されていて変化はありませんが、空間を移動する鑑賞者の位置や目線の高さによって様々な構図を楽しむことができます。また、窓から差し込む光の角度によっても空間の表情に変化が生まれます。つまり鑑賞者の移動や時間の経過によって刻々と作品の見え方が変化するということ。

固定されたオブジェがあるだけの空間は、一見なんの変化もない空間として鑑賞者に認識されるかもしれません。しかし、鑑賞者が能動的に行動を起こすことで無限の変化を感じることができるようになります。


変化のない日々を憂いるのではなく、自ら行動を起こすことで見える景色は変化する。自分が物事をどう捉えるかで、その物事は面白くも、つまらなくもなる。

物事が面白くないと感じる時は、自分の物事の見方が面白くないからなんだろうな…なんてことを考えてしまいます。

そんな哲学的な価値観を再認識させてくれる素敵な作品だと感じました。

(繰り返しになりますが、ここで述べていることは私が作品を通じて思考したことであり、作者の意図を述べているわけではありませんので。笑)




さて、本展覧会は展示作品の数こそ多くはありませんでしたが、バリエーション豊かなビジュアル・アイデンティティの表現方法に触れることができる大変有意義なものとなっていました。


お時間のある方は是非、あまらぶアートラボ【A-Lab】へ足を運んでみてください。

そして、国立国際美術館へ行かれる方も是非、こちらへ寄り道してみてくださいね。


素敵な作品との出会いがあることをお祈りいたします。


それではまた。




あまらぶアートラボ【A-Lab】
「ニューアイデンティティ」 2021/12/27mon.-2022/2/13sun.

【開館時間】
月・水~金:午前11時~午後7時
土・日・祝:午前10時~午後6時

【休館日】
火曜日、年末年始(12/29~1/3)

※最新情報は公式サイトでご確認ください。

■あまらぶアートラボ【A-Lab】Website http://www.ama-a-lab.com/​​​​​​​



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この記事を書いたスタッフ

Okazaki Akihiko

企画制作部 クリエイティブデザイン課

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